アボガドパワーズ
新作?
とりあえず、この山のような本を読んでから。
さて、考証考証っと。
・・イヤな路線選んじゃったなあ〜。


黒の断章
1995
ADV/ゲームA/精液B
キーワード:クトゥルー・ポリゴン裸体

記憶をなくした探偵が猟奇的殺人と、そのウラに潜む秘密、そして自分の過去を追う。深い考証に裏打ちされた伝奇的作品。これはおもしろい。クトゥルー神話を下敷きにしたストーリーを言われてもラブクラフトなんてのはチンプンカンプンなんだけど、なんというか、しっかりした話というのはわかるぞ。世界観のディテールが実に緻密に構成されていて、なかなか引き込まれる。こういう渋いタッチのシナリオはエロゲではあんまりないし、しかもかなり雰囲気がある。ダーク系ではリーフ、剣乃作品と肩を並べているといっても過言ではない。しかし、エロはダメだ!CGにくせがありすぎ。塗りが細かすぎてなんか嫌。もうちょっとデフォルメしてよー。わしゃこのゲームのHシーンを一回も活用してない。

 

Esの方程式
1996
ADV/ゲームA/精液B
キーワード:伝奇・ワンズ様・ポリゴン裸体

え〜。難しい話・・・。涼崎探偵事務所シリーズ第2弾。前作「黒の〜」よりもさらに巷の評価が高い作品だけど、僕は前作の方が好き。ちょっと頭でっかちになる瞬間が多々あるからね。この作品についてよく言われるのは他の小説からの引用が多すぎるってことだけど、そんなこと言ったらオシマイなのは誰でも知ってるでしょ。要は出来上がりですわ。このゲーム、決して引用の多い少ないで評価をどうのこうの言われるようなケチな作品ではない。ただし、相変わらずエロはダメ!CGの塗りがさらに細かくなった。こう言うと「いいじゃん」と思うでしょ。一目見ればわかるけど、「緻密」じゃなくて文字通り「細かい」の。「六角大王」で作った3Dグラフィックみたい。だめだあ〜。

 

終末の過ごし方
1999
ADV/ゲームB+/精液B(顔2:口0)
キーワード:剣乃ゆきひろが同じテーマでやったらどんなだろう?

あと、1週間で終わる世界。絶望、悲嘆、混乱、恐慌、略奪・・・。そんななか、静かに最後を迎えようとしている人たちもいた・・・。アボガドパワーズ久々の新作。相変わらず素晴らしいテキスト。しっとりとしたムード。意欲的な演出。魅力あるキャラ。心に響くストーリー。そして感動的なラスト。・・・になるはずだった。

「終末」という前提さえなければ。

このゲームは「終末」がテーマでありながら、全く終末感がない。こういう静かなカタストロフィというのは良くある話だけど、どれにも共通してるのは淡々としたストーリーの後ろでとてつもなくドズ黒い狂気がひそんでいるということ。ブリッグスの絵本の「風が吹くとき」みたいな。そうしないと、読んでいる方に実感として感じられない。この話は終止学校の校舎内で語られ、外で起こっているはずの混乱とは隔絶された状態。毎朝ラジオから世界の情報が流れてくるのだが、その情報を伝えてくるDJがまた底抜けに明るい奴で危機感のかけらもない。何の問題もなく日常が流れ、皆「一見」普通に暮らしている。本当に終わりが来るの?

もっとも、この話は既に「終末」が告知されてからしばらく経った後の話であり、皆混乱を極めた後の静寂状態なのかも知れないけど。でもこんなものだろうかね?楽しく、若しくは穏やかに最後を迎えようとしてもそこには大きな欠落感、荒涼感が伴うと思う。そこの部分の描写がずっぽり抜けてるのだ。

あまりにも淡々としすぎている。登場人物達は確かにバッドエンドを意識しながら生活しているのだが、恐ろしい最後に対してみなが一様に「終末」という表現を使い、恐怖を客観化することに成功している。大したモンだ。つまり、この話はすでに「終末」を越えている。 そこにあるのは単なる日常でしかない。一抹の悲しさが漂っていないことも無いのだが、それはあと1週間で終末と言うよりもあと1週間で卒業式という程度のセンチさだった。こんな強い精神状態の話に俺達は何を発見すればいいんでしょう?ガンで余命いくばくもない患者に「痛めつけて治す!野村克也の逆療法」を教え込むようなものではないだろうか。

ここまでの静かさは、いくら「終末」を「週末」と読み替え日常のなかに終末を落とし込もうとしたにせよ、作者の意図するところでは無かったと思う。むしろ、ことさらに終末を強調しなかったら文章は相変わらずいいんだから、素直にグッドラブストーリーの佳作になっていた気がする。う〜ん。

Hに関してはこういう話にしては良かった。アボガドはもともとH濃いブランドだからね。さらにCGが気に入った。こういう小説そのものという話にアニメ絵は似合わないと思うし、水彩画の絵柄の採用は当然だったと思う。しかもこの原画のひと、優しい絵柄でありながら裸はやたらセクシャルなんだ。乳もしっかりあるし、汁も描く。CGに関しては言うことないね。で、この人が描くメガネっ娘はとても可愛かった。俺はメガネッ娘がスキキライどっちかというと大嫌いな方だが、この作品みたく登場人物全員メガネっ娘になってしまえば新しいヒエラルキーが出来て、カワイイと思える娘もいるんだということがわかって新鮮だった。

今回は珍しくストーリーのことについて書いちゃったなあ。