もっと強い日本代表が見たい!
日本流4−5−1システムの提案
BY PERO(無責任)
6 NOV.1998
サッカーファンなら皆が夢見る「理想の日本代表」。オレも理想の日本代表あるよ!
無理矢理聞かしてあげるね!
<日本サッカーの進む道>
まず日本サッカー強化の歩みは間違っていないと思う。すなわち、
守備は組織力で守って1対1での身体的不利をカバーし、攻撃では中央突破を狙わずサイドからのスピードあふれる切り崩しでFWの力量不足を補う。
代表の話をするとシステム論ばっかりになってしまうが、要するに上の方向性が理想的に実現されれば何でもいいのだ。メンバーの特性がそれに合っていれば、どんなシステムでもいいと思う。では、どんなサッカーが今の日本代表に合うのか。それは、
1・サイドでの切り崩しが思い切ってできるように、4バックにして両サイドの裏を狙われないようにケアする。
2・フィジカル面を補うために組織全体の運動量を上げ、それを効率よく行うためにゾーンを常にコンパクトに保つ。
3・さらにそのゾーンを高めに保ってゴール前へのサポートを増やし、シュート数をとにかく増やす。
これだけ。後は選手自身の力量とコンビネーション次第。
<現行の代表システムの問題点>
しかし、これがなかなか実現しない。この間のエジプト戦でも理想とはほど遠いサッカーだった(図1)。岡田監督時代さほど変わらない3−5−2。リベロが深くさがって間延びしたゾーンで選手達は無駄に走り回ってる。やたら疲れるやり方だよ。日本人は勤勉だからまだ持つけど、効率悪すぎやしないかい?このシステムは合ってないよ。
まず両WBの負担が異様に大きい。攻撃と守備にかなりのセンスが要求されるこのポジション。この日本で一番クレバーな選手の一人、相馬でもあの程度。ブレーメでもいたら別だけど、日本でWBを置くシステムは苦しすぎる。
しかもWBが攻撃参加した後のウラがバンバンねらわれる。今や日本攻略法はどこの国にも知れ渡っている。そこで井原がスイーパーに回ることになり、DFラインが深くなってしまう。これではゾーンをコンパクトに保つことが不可能。いたずらに選手の負担が大きくなるだけ。大体3バックというのはフィジカルに秀でていて初めて生きると思うんだけど。
何より、このシステムだとMFに3人しか起用できない。若い世代のMFの充実は日本が一番世界に誇れる部分。非常にもったいない。しかも日本一の天才MF名波を中田の尻拭いに使うという、無駄使い。それでいてドングリの背比べのFWはしっかり2人いるんだもんな〜。
トルシェ現監督がこれからどういう風にチームを作り上げていくつもりか知らないがこの日本の現状に合わないシステムは早いとこ廃止してほしい。
<じゃあ、どうしたらいいの?>
とりあえず図2が、現時点のオレの希望フォーメーション。フラット4の4−2−3−1システムだ(図2)。加茂・エドゥー時代のフリューゲルスが原型。
−DF−
なによりまずフラットな4バック。これを実現しないといつまでたっても日本は今のまま。日本が強豪国と正面から立ち向かうためには運動量で勝負するしかない。その運動量を高いままに保って90分戦うためにはゾーンをできるだけ狭くする必要がある。そのためにはサイドの守りを気にしてリベロが下がりがちになる今の3バックではなく4バックの実現が不可欠。これでラインを高く保ち、サイドのウラをつかれないようにSBをある程度守備的に置く。ベンゲル・グランパス方式だ。
ところがこれがなかなかできない。井原の存在がネック。スピード不足の彼がいる限り4バックは実現しない。エジプト戦でも最初は3バックで高い位置にラインを置いていたが、すぐにまた下がってしまった。井原はカバーリングでは経験を見せるものの、よーいどんでは相手に簡単に置き去りにされてしまう。よーするにマンツーの3バックのスイーパー向きなんだ。下がった位置でないと彼は能力を出せない。フラットDFライン実現にはまずキャプテン井原をメンバーから外すところから始めないといけない。
その代わりに田中、鈴木のジュビロコンビに期待。この2人は普段から4バックで他のメンバーががんがん攻め込むところ2人で相手のカウンターをケアしている。特に田中は五輪後の燃え尽き状態から完全に抜け出し、非常に頼もしい。2002年には是非DFのリーダーになって欲しい。本来リーダーは斉藤がなるべきなんだが、どうもパンチに欠ける。なにより髪型が良くない。アレでは敵にナメられるだけであろう。両サイドバックは相馬、中西でしょうがない。しばらくこの2人は代表のレギュラーで居続けるだろう。しかし、相馬の代わりはハットがいるからまあいいとして、中西のバックアップが問題。名良橋より格段にいいというのがいない。市川はちょっとまだフル代表には力不足。柳本?ふふふ・・・。
GWはラインを高く保つのなら、飛び出しの思い切りの良さと確かな足技で川口しかない。DFラインとの協調性だけが心配。でも井原がいなくなれば・・・。
−MF・FW−
MFに関しては日本は今アジア最高の人材を大量に抱えている。にもかかわらず、エジプト戦でも、その前のW杯でも、大半のMFは出番はなかった。なぜ小村が出まくってるのに藤田はでないの?上野は?増田は?どういうことや。
このような宝の持ち腐れを解消するにはMFを多くとれるシステムにするのがいいと、単純に考えた。日本が格下相手にとる中盤をダイアモンド型にした4−4−2も考えたが、それなら力の落ちるFWを二人使うより、MFを一人増やした方がいい。と言うわけでMFは5人。
真ん中には中田。小野でもいいがまだ中田の求心力の方が上。そしてサイドの攻撃に厚みを加えるためにウィング的に張り出した形で2人配置。この配置で攻撃時にサイド攻撃を早めに始められる(はず)。担当は現時点の実力で左に平野、右に奥が一番手。モリシ、増田のけが人組、三浦アツなど、他にも色々候補者はいる。2002年には本山も間に合うかも。ボランチは2人。名波、伊東の「守備もできる」2人を並べる。個人的趣味で守備より展開力の方を取る。名波はもっと前で起用したいがやっぱり他にいない。残念。ドゥンガみたくザ・ボランチみたいなのがいたらいいんだが、そんなのは日本にいない。上野はまだ成長して欲しい。望月ははっきり言って知らないので判断留保。このポジション、今一番の有望株は稲本。あれで今反則になっているディフェンスをうまくごまかせるようになったら2002年はワンボランチでも任せられるかもしれない。がんばれダーティ・プリンス!
FW。これはワントップだからとにかくサポートを待てるだけのボールキープ力が下手したら決定力より必要。今は不動のレギュラーの中山だけど、2002年にまだベストフォームだとは思えない。それより柳沢だろう。なぜか代表では運がないようだが総合的な能力は一番高い。今はマジーニヨの使いっ走りばかりさせられてるが、もっとストライカーっぽくなってくれ。器用貧乏になってもしらんぞ。
このシステムの運用だが、ワントップにサポートをとにかく多く。決定力は期待できないので、シュートまで至る場面を多く作るのが肝心。まずラインを高くしてゾーンを超コンパクトにするのは絶対。攻める時も守る時も全ての選手が30メートルぐらいのゾーン内にいること。これができないと単なるペルージャ。高いラインのウラを破られるのはある程度覚悟の上。ひたすら度胸のラインコントロールは田中の能力に期待。ボランチのプレッシャーでつぶせなかった相手のロングボールは飛び出し大好きの川口に任せる。SBはどっちかのサイドだけ攻撃に参加。SBとアウトサイドのMFが加わると韓国みたいなダブルのウィングになり、サイド攻撃に厚みが出る。と言っても真ん中ワントップなので、中田他の2列目以下の選手が積極的にフィニッシュシーンに現れなければいけない。オプションとして、格下相手の時はワンボランチにして名波と中田を2列目に横並びにする94年アイルランド型にしてもいい(図3)。2トップでもいいがそのときは奥と伊東を一つずつ前にして左のウィングに変えて服部などの守備ができるボランチを入れるなんてのはどうだ(図4)。
机上の論理では今よりもいいサッカーになるんだけど。
<PERO式4−5−1の長所と短所>
このシステムの長所は、なにより見てておもしろそう。サイド攻撃はかなり厚みが出ると思う。やっぱりサポーターは相手をがんがんに攻めていく代表を見たいだろう。日本のMFはまだまだ有望なのがいる。中盤の組み合わせ次第で守備的、攻撃的オプションが豊富に用意できる。とにかく、はじめに書いた日本サッカーの進むべき方向性を今の戦力で実現するにはこのシステムがいいと思う。
短所・・・。結構弱点はあるぞ。まず、ワントップの出来が大きくチームの勝敗に影響する。オレは柳沢を抜擢しているが、彼ももうひと周りふた周りの成長が望まれる。そしてもう一つの大きな弱点はカウンターをくいやすいということ。高いラインを保つと、そのウラを敵は狙ってくる。4バックで今よりはサイドは堅いだろうが、カウンターに弱いという例の問題は保存される。でも、その分攻撃は今より遙かに強力。しょうがない。
システム以外に選手の問題もある。まず、中田と小野が同時に使えない。唯我独尊タイプの中田がチームの中心にいて、しかも自由に動いているということは他の選手が彼に合わせないといけない。そうしないと組織全体がバラバラになってしまう。小野が中田のそばにいると、お互い起点になるタイプだから真ん中の動きが極端に悪くなるという可能性がある。実際、小野と中田が同時に出場した時は二人のコンビネーションは皆無だった。名波も中田がいるせいで今の位置に甘んじなければならない。
そしてもう一つ、先にも言ったがボランチのスペシャリストがいないこと。日本にいる守備的MFは守備か攻撃どっちかに秀ででいるヒトしかいない。攻撃と守備の両方の先兵。SBが上がっていったときのスペースのカバーリング、機を見たミドルシュート、状況に適応したチームマネジメント。ボランチは全てのサッカーテクニックが要求される。ここにいい選手がいれば、どんなシステムであっても機能する。しかしそんなのはなかなかいない。世界的に見ても優れたボランチはほんの少しだ。
しかし、上の2つの弱点は一度に片づく可能性もある。解決法は、そう、例のあれ。
中田のボランチ起用だ。
まあラストパスにこだわる本人が承知するわけないし、たぶん実現はありえないだろう。しかし、中田がボランチの位置でフォア・ザ・チームに徹してくれたらどれだけ代表が強くなるか、と思うと中田ボランチに期待しちゃう。守備も攻撃もメチャ上手。イタリアに行ってから格段に精度が上がったシュート力。フィジカルも強いし、なにより最高のインテリジェンスを持っている。中田はボランチには理想的な選手。この位置に中田が入れば名波も小野も2列目で使えるのになあ。なかなかうまいこといかないもんですね。
村上龍でも誰でもいいから、中田を手なずけてくれんか?オレで良かったら焼き肉おごるけど?中田がその気になってくれたら組織サッカー最高峰ユベントス型4−4−2でもイケるで。そしたら小野にトップ横を教えて、本当の理想の日本代表ができあがるんだけどなあ(図5)。
<本当に必要なのは・・・>
加茂さんがフリューゲルスに就任して4−5−1のゾーンプレスを導入したとき。その基本の動きだけでマスターに3ヶ月かかったという。しかも毎日練習してだ。今のサッカーのシステムはものすごく習熟に時間がかかるのだ。
しかしながら、代表チームに許された練習時間はひっじょ〜〜〜〜〜に少ない。4年なんてあっという間。次のワールドカップは直ぐにやってきてしまう。今の3−5−2を早く何とかしないと、とても間に合わないぞ。これはトルシェさんの力量がどうのこうの言う前の問題。日本サッカー協会の連中は何を考えてるのだ。代表に時間は与えないし、異世代間の代表を掛け持ちで有能な選手を消耗させるし、若い選手に清雲はあてがうし、何がやりたいの?
これからの4年は只の4年じゃない。2002年は地元開催。アジア初のワールドカップだぞ。日本代表は今までより格段に格段に格段に高い高い高い目標を要求されてるのだ。「ベスト16進出」これが最低目標でっせ?いけるの?今回初めて本戦出たばっかりの新参者が。
選手レベルが低いとは全然思わない。しっかりした強化をおこなえばW杯でもかなり戦えると思う。でもね、それをみすみすつぶしにかかる協会には本当にブルーにさせられる。何で1999年は代表の空白期間なの?どういうつもりなんだ。
確かに、日本代表の最大の問題点はボランチでも、監督でもなく、(協会の)決定力だったのです。
おあとがよろしいようで、トホホ